分子の特定の位置について、電子密度を減弱させる効果を持つ置換基の性質を電子求引性と呼び、逆に増加させる効果を持つ場合の性質を電子供与性と呼ぶ。このような効果を持つ置換基を電子求引性基あるいは電子供与性基と呼び表す。電子求引性あるいは電子供与性は単に電気陰性度の差だけでは説明できない。すなわち前述の誘起効果、メソメリー効果等が複合的に作用するので、芳香性や共役系の存在やトポロジー的な位置関係によって現れ方が変わってくる。
誘起効果の場合、電子求引性のものを−I効果、電子供与性の場合を+I効果と表すが、炭素よりも電気陰性度の高い原子は−I効果を示す。またアニオンは+I効果を、カチオンは−I効果を示す。
メソメリー効果の場合は電子求引性のものを−M効果、電子供与性の場合を+M効果と表す。
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表のこれらの強度は傾向あるいは相対強度を示している。相反する効果が相乗した場合などでは量子化学的計算などで絶対値を推定する必要がある。
例えば、メトキシ基(-OCH3)が置換したベンゼンの場合、隣接するオルト位炭素に対しては酸素の電気陰性度によるI効果で僅かに電子密度を減弱させ、メタ位、パラ位にはさほど影響を与えない。それよりも酸素の非共有電子対の押し込みによるM効果でオルト-パラ位炭素への電子密度を増大させる効果の方が支配的である為、メトキシ基は芳香環上の求電子置換反応では電子供与性基として作用する。
これらの効果を、パラおよびメタ置換安息香酸の酸解離定数をもとに、定量的に評価、予測する経験則として、ハメット則が知られる。